DSi国際

5月18日はダウン症の国際組織FIDSを創設したJo Millesさんの命日

何でも最初に作り出すことは素晴らしいことですが苦労を伴うことです。
現在、Down Syndrome International(DSi) というイギリスのロンドンにある組織がダウン症の国際組織ということになっていますが、実はこの組織の前身はFederation of International Down Syndrome(FIDS)という組織でした。大学の教育者であった、Jo Millesさんは穏やかで熱意のある女性でした。私はMillesさんはメールでのやりとりだけでしたが、亡くなる直前まで白血病で苦しまれていて、元気づけるメールを大売りしていました、丁寧な返信を下さっていました。

Jo Millesさんは1993年には各国のダウン症のキーパーソンと連携を取っており、このような写真がDSiのページに掲載されていましたが、DSiのHPには何故か、FIDSのことは全く書かれていません。

1993 DSi was founded as a result of a meeting between Jo Mills (Canada), Penny Robertson (Australia) and Sylvia Escamilla (Mexico) who formalised the mission and structure of the organisation.(DSiのhistoryページより転載させてもらいました。左上の写真右下ら2人目、下の写真左端がJoさん。https://www.ds-int.org/our-history)

Millesさんが健在ならば、ダウン症の国際組織の活動はずいぶん変わっていたと思います。と言うのは当時のFIDSにはダウン症の成長や発達に於ける幼児教育の専門家や、大学教授でダウン症の教育などについての本を書かれている方々が国際的に参加していました。しかし、Millesさんが亡くなって事務局をカナダからイギリスのロンドンに移してからは、こう言った専門家が定期的に会議をして物事を決めるということが大幅に減ったようです。主に事務の方が進めているようです。

私は1996年5月にシンガポールで開かれた第2回アジア太平洋地域ダウン症会議」の代表者円卓会議に参加して、FIDSの中心メンバーになるPenny Robertson さん(Australia)らともお会いしました。各国で活動するダウン症の親の会の中心メンバーが国際的な連携を構築しようとしていることがわかりました。 当時は日本のダウン症の会で国際的な交流のできる組織はなく、このDSIJの前身JDSNだけが対応可能でした。日本との交流のキーパーソンになってほしいとの依頼を引き受けました。

2000年7月には第6回世界ダウン症会議がマドリードであり、JDSN代表者として出席し、各国代表者基調講演の一人として、「国際的なネットワークと協力が必要だということ、ダウン症の人たちは素晴らしい灯火として社会を照らすけれど、風などには弱いので私達が守らなければならないこと、しかし不思議なことにダウン症の人には世界中で共通した面影があり、世界をつなぐ不思議で素晴らしい力があるんです。みなさんがご存知のように。」と公演の最後に入れた所、1000人以上入るホールの参加者がスタンディングウエーブで応えてくれました。私の英語での講演はスペイン語にも同時通訳されていました。

その後2006年にはカナダのバンクーバーで第9回世界ダウン症会議、理事会があり出席しました。この会議の組織委員にもなっていました。岩本綾さん、越智章仁さん、牧野アンナさんとラブジャンクスのメンバーが大勢参加してくれました。大成功の会議でしたが、Jo Millesさんの病状は悪く、会議に顔を見せることはできませんでした。私は組織委員でプログラムや当日の運営など組織委員として裏方を担当しました。こういった会議があって、世界ダウン症の日3.21が国連の認証を受けたりできたのです。

しかし、FIDSがDSiに変わってからは、運営委員に教育者や研究者は、見当たらなくなり、途上国への支援や会議開催はやってきましたが、活動はもっぱら世界ダウン症の日のアピールと靴下のチャリティー販売が主になって来たようです。私も理事をやっていたので、イギリスでダウン症本人として出生前診断に対して反対運動や裁判をしているハイジさんの活動を支援しないのかと問い合わせたことがあります。その時の返信は、「あの問題はローカルな問題だからDSiは関わらない。」ということでした。これを聞いて私は大変落胆しました。ダウン症の人のための国際組織がダウン症の人の人権や命の尊厳を守らなくて何なのだろうという気がするのです。

諦めずに、人権を守るための活動はしなければと思います。
Jo Millesさんが安らかな想いで眠り続けられることを祈りましょう。
(2023/5/18 百溪)

 

 

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