JDSNの設立案内とダウン症フォーラムの紹介(資料)
以下の情報は過去の資料です。所属指名などは当時のままです。
日本ダウン症ネットワーク委員会設立のお知らせと
日本ダウン症フォーラムの御案内
日本ダウン症ネットワーク委員会委員長
武部 啓 京都大学医学研究科
このたび、日本ダウン症ネットワーク委員会を設立することになりました。私は遺伝学と放射線生物学の研究に長年従事し、その間遺伝性疾患、染色体異常疾患をも研究の対象としてきましたことから、京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)の賛助会員の一人としてダウン症についても深い関心を寄せてきました。
一方、ヒトゲノム解析計画の国際倫理委員会(14名)の委員として1992年以来、遺伝(子)と倫理の課題に取り組んできました。毎年、私の京都大学の講義や学会、研究会などにダウン症児の親に話をしていただいたり、討論会に参加していただいています。そのような経験からダウン症について親(家族)だけでなく、医師を中心とする医療関係者および一般の方々に広く理解していただく必要性を痛感してきました。
1996年に京都ダウン症児を育てる親の会「トライアングル」と共同で、ダウン症に関する理解と主として親の体験についてのアンケート調査を行い、その結果をパンフレットにまとめて公表しました。それを通じて一番強く感じられたのが、ダウン症について公正でわかりやすくかつ現実的な情報がいつでも誰でも入手できることの必要性でした。特に生まれた子がダウン症と突然知らされた親や、それを知らせなければならない医師にとって、そのような情報システムが不可欠であることが浮かび上がってきました。同様なことは出生前診断についても、ダウン症を生むことのマイナス面の情報のみ氾濫している現状を改めて知らされました。
日本ダウン症ネットワークは、そのような必要性に応えるために、とりあえずインターネットを通じてアクセスができるダウン症情報の提供を目指すものです。すでに全国各地の親の会などで一部、同じ様な活動をしておられたり、あるいは文書(会報)などで地道な努力をしておられるグループも多いことはよく理解しているつもりです。
しかしながら実数の多さと全国への普及、さらにすでに実施されている同様な活動との連携などを考え、早急に全国規模かつ国際的なネットワークの発足が望ましいと考えました。多数ある全国の親の会などの統一的組織で生まれ、そこが運営する形となるのが理想的でしょうが、それには慎重な立案、審議を含め時間がかかります。
私たちが考えているのは形式よりも実質的、かつ現実に則した活動です。したがって、このネットワークは既存のどのような組織も代表するものではありません。
運営形態もできるだけ柔軟にしたく、規則なども最小限にして、まず活動することから始めます。当初私を含めてこのような計画を立案してきた若干名で構成する「委員会」が運営しますが、開かれた組織にしたいと考えています。ダウン症児の親だけでなく、広くダウン症児、者にかかわる医療、教育、福祉関係者を含む会にするため、ダウン症児の親ではない武部が委員長に就任しています。
このような趣旨ですが、より広く深く関係者に御理解頂き、また御支援、御協力いただくきっかけにしたく、毎年定期的に日本ダウン症フォーラムを開きたいと考えています。第1回は、1996年8月に茨城つくば市で、第2回は1997年11月に京都市でフォーラムを開催をしました。第3回は1998年11月28日、29日神奈川県横浜市にて開催予定です。是非、御参加くださるよう御案内申し上げます。