人権優生政策出生前診断戦争と障がい者法律生命倫理社会学資料障害の理解

法の理念と国民の価値観-日本の優生史をたどる-(資料の紹介)

素晴らしいレポートがあったのでみなさんにご紹介したいと思います。


第26期 松下政経塾 卒塾

坂野真理 (さかのまり)さんのレポート (2007年9月)
虹の森クリニック院長/虹の森センターロンドン代表(子どものこころ専門医)


いのちの始まりをどう扱うか。「優生」をめぐる法制度の歴史は、その問いに対する具体的な日本人の答えでもある。今回は、法と国民の価値観はどのような関係を持って現在に至っているのかを、優生史を通して見て行きたい。


1.はじめに

法律にはその背景となる理念が存在する。そして、その理念がもっとも反映される法律の一つに生命倫理に関する分野がある。20世紀以降の医療技術の進歩はとどまるところを知らず、技術に応じて生命倫理を国民的議論として取り扱わなければならない問題が種々生じてきている。そのスピードに対応できるように、結論を出すのが非常に難しい問題について、政治や行政は理念を決め、判断し、法整備を早々に進めなければならない。しかも、その際の理念形成は多くの場合、技術の進歩に応じた新しい概念を取り扱わなければならない。

一方で、民主主義国家である日本においては、制度は当然ながら民主主義のルールに則って決められなければならない。すなわち、法制度の背景となる理念は国民の選択によって定められるべきである。しかし、専門家ですら価値判断に苦渋するような未来の人類の在り方に関わる問題に、国民は選択を迫られ、自らの価値判断を示さなければならない。

そこで、今回のレポートで取り扱いたいのは、法制度と国民の価値観の関係である。つまり、生命倫理の分野において、その背景となる理念がどのように国民に影響を与えているのか、あるいは国民はどのように法律の背景の理念を選択してきたのか、という問題である。

そのツールの一つとして、今回は母体保護法の変遷について見ていきたいと思う。なぜなら、母体保護法は生命倫理に関する法律の中でも、議員立法によって成立や修正が行われてきた法律であるからだ。いのちの始まりをどう扱うか、という人間存在の本質が問われるこの法律において、民意と法制定とはどのような関係を持って推移してきたのかを見て行きたい。

2.法律制定の経緯と世論調査
(1)国民優生法
(2)優生保護法
(3)優生保護法改正
3.法制度と国民の価値観
4.終わりに

2以降はこちらから原著をお読みください。


*非常に簡潔に要点をまとめた優れたレポートだと思いました。
よく、出生前診断の論議や優生政策は難しいなどということを聞きますが、
重要な点はとてもシンプルです。
難しい問題だなどと逃げずに、しっかり読んで考えて頂きたいと思います。
人権を守ることと人権蹂躙はすべての人に直結する重要なことです。

(コメントはDSIJ 事務局長)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Translate »