人権出生前診断親の思い資料

ダウン症育児、怖がらないで 広島の親たち「障害もっと知って」


ダウン症育児、怖がらないで 広島の親たち「障害もっと知って」

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とてもタイムリーな親と本人の視点から書かれた記事だと思いました。

こちらのリンクから掲載された写真を見ることができます。

▽新出生前診断の広がりに危機感

 妊婦の血液から胎児のダウン症などを調べる新出生前診断(NIPT)の広がりに、ダウン症の子どもの親たちが危機感を募らせている。障害者を社会から排除しかねないからだ。広島のダウン症児の親たちでつくるNPO法人「nicoloop(ニコループ)」のメンバーは「おなかの赤ちゃんは『モンスター』じゃない。障害についてもっと知ってほしい」と訴える。

 「いつも大変じゃね」。周囲からの何げない言葉にしっくりこない。広島市中区の崎原泰子さん(48)にとって、ダウン症の一人息子大英(たいえい)君(11)の子育ては、大変なことばかりではない。むしろ、息子のおかげで毎日笑いが絶えない。

 洗濯物を取り込むと「やるやる~」と畳んでくれる。お笑い芸人のまねをして場の雰囲気を和らげる。そんな日常がいとおしい。なのに、よく知らない人から「育ててすごいね」と言われる。

 「何も『モンスター』と過ごしているわけじゃない。うちの息子は吉本新喜劇が好きで生意気なときもあれば優しい所もある、私たち夫婦の元気の源です」

 ダウン症児の子育ては大変で親はかわいそう―。それは世間がつくったイメージにすぎないと発信したくて2019年11月、親仲間とニコループを設立した。当事者の日常を伝える企画を練っていた今年6月、NIPT拡大のニュースが飛び込んだ。胸がざわついた。

 インターネットで検索すると「(検査施設が)増えてラッキー」「安心のために受けたい」などの言葉が並ぶ。障害者は「不要な存在」とも取れる発言に怖さを感じた。「悪いイメージだけでなく、彼らのすてきな部分も知ってほしいのに」ともどかしい思いを募らせる。

 ダウン症のわが子が「成果主義の自分を変えた」と話すのは、東区の池田幸恵さん(45)だ。長男の佳祐君(10)を妊娠するまでは会社で人事を担当し、寝る間も惜しんで働いていた。「生産性のものさし」で他人と競い、いつもプレッシャーを感じていた。

 だが、佳祐君の誕生で考え方が変わった。合併症の治療をしながらゆっくり成長を見守る日々は「他と比べようのない命の輝きと向き合えた時間だった」と振り返る。池田さん自身、ゆっくり歩む生活の中で、友達との雑談が楽しくなった。「息子のおかげで人に優劣を付けなくなった。生きるのが楽になりました」と笑う。

 ダウン症の長女美海(みう)さん(11)と過ごす時間は「発見の連続」と話すのは、安佐南区の荒木奈美さん(43)だ。野菜を切る、妹に好物を譲る、落ち込む母を「よしよし」と慰める…。できることがどんどん増える美海さんに驚かされ続けている。一つ知れば、一つ不安が消えて幸せが見つかる。周囲のダウン症の子どもと親が楽しそうなのも、心の支えだ。

 「でも、知らなければ不安や孤独は膨らんでいく。私がそうでした」と打ち明ける。出産後、美海さんがダウン症と分かってしばらくは涙が止まらなかった。どんなふうに育つのか、話せるようになるのか…。何もかもが不安だった。「ダウン症のことをもっとよく知っていれば、あんなに構えなくて良かった。悲しむ必要もなかったなあって、今はそう思うんですよ」(標葉知美)

 ■新出生前診断(NIPT)とは

 妊婦の採血でダウン症など胎児の3種類の染色体異常を調べる検査。従来の出生前の血液検査と比べて精度が高く、2013年に導入された。日本産科婦人科学会はことし6月、検査できる施設を増やす新指針を公表した。

 これまで検査の実施は、遺伝カウンセリングができる体制が整った認定施設のみに限られてきた。新指針は、認定された産科医がいるなど一定の要件を満たす小規模の病院やクリニックも検査を認める。10月から厚生労働省の専門委員会が新指針を含めたNIPTの在り方について議論を始めており、同省が了承すれば運用を始める。

 NIPT拡大の背景には、専門外の美容外科などで十分な情報のないまま検査を受ける妊婦の増加がある。同学会は「相談できず困る夫婦を減らしたい」としている。

 ▽カウンセリング軽視ないか 「母と子のまきクリニック」兵頭院長

 出生前診断が専門の産婦人科「母と子のまきクリニック」の兵頭麻希院長は、今後増えたNIPTの実施施設で、検査前のカウンセリングが軽視されないか危機感を抱く。「妊婦が検査や障害について必要な情報を得られなければ、中絶の流れが加速しかねません」

 同クリニックでは、検査の基礎情報を伝える▽家庭環境や夫婦の思いを聞く▽胎児の様子を細かく超音波で確認する―などした上で妊婦にNIPTを受けるかどうかを決めてもらう。胎児にダウン症の可能性があると分かった場合は、希望者にダウン症の育児経験者を紹介するなど、なるべく多くの情報を提供して決断を支える。

 「小規模の病院やクリニックの医師は多忙。一人の妊婦にどれほどの時間が割けるのか心配です」と兵頭院長。「生まれる力のある命をどう考えるのか。医療者は、妊婦が決断を後悔しないための伴走者であってほしい」と願う。

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